SAKEを世界飲料に!八海山とブルックリンクラの挑戦

SAKEを世界飲料に!新潟の老舗蔵元「八海醸造」とニューヨークでアメリカならではのSAKE造りを続ける「ブルックリンクラ(Brooklyn Kura)」の提携。2021年に始まった試みがついにブルックリンクラのSAKE「日本上陸」というところまでやってきました。今回は共通のビジョンを掲げる2社にスポットライトをあててこれまでの取り組みを見ていきましょう。

「SAKEを世界飲料に」八海醸造が掲げるグローバルビジョン

新潟の「八海山」で知られる八海醸造が、「SAKEを世界飲料に」というビジョンを掲げ、日本酒の新たな可能性を追求しています。国内消費が減少する中、海外に活路を見出すこの挑戦が今、実を結び始めています。

創業100周年から始まる新たな一歩

創業100周年を機に、八海醸造は日本酒を「SAKE」として世界に広める戦略を明確化しました。日本国内の若者のお酒離れという課題に対し、世界に目を向けることで活路を見出そうとする前向きな挑戦です。

世界で広がるSAKEの可能性

日本食ブームに乗って海外での日本酒人気は高まっていますが、八海醸造は「日本食と一緒に飲むもの」という枠を超え、様々な料理と楽しめる「世界の飲み物」としてSAKEを位置づけようとしています。

ニューヨークに根付くSAKE文化—ブルックリンクラの誕生

ニューヨーク・ブルックリンに誕生した「ブルックリンクラ(Brooklyn Kura)」は、日本の伝統技術とアメリカのクラフト文化を融合させた新しいSAKE醸造所です。現地素材を使った本格的なSAKE造りが、アメリカでSAKEの広がりに一役買っています。

情熱が生んだアメリカ初の本格酒蔵

元金融マンのブライアン・ポーレン氏と元生物科学者のブランドン・ドウジャン氏が立ち上げたブルックリンクラは、専門知識ゼロから始まった挑戦でした。日本酒に魅了された二人の情熱が、アメリカ初の本格的SAKE醸造所を生み出したのです。

アメリカらしいSAKEの新しい形

ブルックリンクラの特徴は、カリフォルニア産の酒米とニューヨークの水を使ったSAKE。元々の日本酒の流れであった「地産地消」の姿勢、日本の伝統的な製法を基礎にしながらも、現地の原料と文化に合わせたアレンジを加え、アメリカらしい新しいSAKE文化を創造しています。

国境を越えた「共創」—八海醸造とブルックリンクラの提携

2021年、八海醸造とブルックリンクラは「SAKEを世界飲料に」という共通ビジョンのもと業務資本提携を結びました。この日米協力は、SAKEの未来を共に創る画期的な取り組みです。

共通のビジョンで結ばれたパートナーシップ

2023年にニューヨークのブルックリンクラの新設拡張工事が完成したお披露目会で、八海醸造の南雲二郎代表は、「八海醸造とブルックリンクラは【SAKE を世界飲料に】というビジョンを共有し、パートナーシップを強化することで、まずアメリカのSAKE 市場を一緒に成長させていきましょう。」とあいさつ。

南魚沼の八海醸造から4人の蔵人が現地入りし、ブルックリンクラの蔵人たちの技術支援をしつつ、共同でSAKE造りを続けています。

技術と文化の架け橋

単純に技術者の派遣、指導をするだけではなく、製造蔵のほかにも以下の施設を併設。

  • その場でSAKEを飲める「タップルーム」
  • SAKEの普及を目的とした”学びの場”「サケ・スタディ・センター」

特にサケ・スタディ・センターでは八海醸造のグローバルアンバサダーであるティモシー・サリバン氏が中心となり一般のSAKE愛好家から醸造のプロフェッショナルを目指す人材向けまで幅広くSAKEの情報を提供するセミナーを行っている。

「逆輸入」が象徴する新時代—ブルックリン発SAKEの日本上陸

アメリカで造られたSAKEが日本に「逆輸入」されるという前例のない展開は、日本酒文化の新たな可能性を示しています。日本酒の本場・日本がアメリカ産SAKEを受け入れる—その意義とは何でしょうか。

日本初上陸した3種のアメリカ産SAKE

2025年4月、ブルックリンクラが造った「キャッツキル(CATSKILLS)」「グランドプレーリー(GRAND PRAIRIE)」「オクシデンタル(OCCIDENTAL)」の3種類のSAKEが日本初上陸しました。アメリカ産の米と水を使い、八海醸造の技術協力のもとで醸されたこれらのSAKEは、日本の伝統と現地の個性が調和した新しい味わいを日本の消費者に届けています。

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ブルックリンクラ(Brooklyn Kura)SAKE3種

新しい視点が日本の伝統を活性化

「日本酒は日本で造るもの」という固定概念を覆すこの逆輸入は、日本酒業界に新たな刺激を与えています。日本酒をたしなむ人々が、また、これを機会にSAKEに触れる人々がどのような感想をもち、受け入れまた評価していくのかが楽しみですね!

SAKEの未来図—世界飲料へのロードマップ

八海醸造とブルックリンクラの挑戦は、SAKEを世界飲料へと発展させるための道筋を示しています。地域の特性を活かしながら、世界中で愛されるSAKEを目指す彼らのビジョンとは?

グローバル展開を加速する戦略的パートナーシップ

八海醸造は2025年、ロサンゼルス・ドジャースとパートナーシップ契約を締結し、北米での認知度向上に大きく前進しました。同時に、フランス人ソムリエとのブランドアンバサダー契約など、多角的な国際展開を進めています。スポーツやワイン文化との連携は、SAKEの新たな楽しみ方を世界に提案する戦略です。

サンゼルス・ドジャースとパートナーシップ契約を締結しました
八海山がドジャースの“公式日本酒”になりました

世界中の食文化と調和するSAKEの無限の可能性

SAKEの魅力は、様々な料理と調和する多様性にあります。以前お話を聞かせていただいた、酒サムライの門司健次郎氏

「日本人が、どの料理とも日本酒を合わせることで日本酒を世界でのブームにすることができる」

とおっしゃっていました。

アメリカでのSAKE造り、SAKEへの関心はその第一歩と言えるのではないでしょうか。

さらに海外造られたSAKEが日本に入ってくることで起きる、日本酒のさらなる発展・化学変化が楽しみです!

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